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ヒュー・ジャックマンが新作映画『フロントランナー』のプロモーションで来日!
主演作『フロントランナー』<2019年2月1日(金)より日本公開>PRで、昨年の『グレイテスト・ショーマン』に続く来日を果たし、日本記者クラブで記者会見に臨んだヒュー・ジャックマン。

news 2019.01.29
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本作は、1988年のアメリカ大統領選挙で当選確実と言われていた最有力候補<フロントランナー>のゲイリー・ハート上院議員が失脚するまでの真相に迫る実話の映画化。知性とカリスマ性にあふれ、絶大な人気を誇ったハートが政治生命を絶たれてしまったスキャンダル疑惑<事件>の真相を、圧倒的なリアリティーとスピードでスリリングに描いています。

日本語で「オハヨウゴザイマス」とにこやかに挨拶するヒュー・ジャックマンは、親日家として知られています。
ここ数年エンターテインメント性にあふれる作品で演じている役柄とは大きく違うイメージですが、最初に「この作品に出演を決めた理由は?」という質問に、丁寧に答えてくれました。
「理由は2つあります。1つは、ジェイソン・ライトマン監督と仕事をしたかったことです。『JUNO/ジュノ』、『マイレージ、マイライフ』、『サンキュー・スモーキング』、彼の監督作品どれも大好きで、出演できる機会を待っていました。登場するキャラクターは白黒はっきりしないような複雑な人物がとても多いですし、違うタイプの作品を作り出して、いろんな気持ちを呼び起こしてくれます。2つ目の理由はストーリーです。次期大統領の最有力候補と言われた人が政界から転落する、3週間の物語に引き込まれたからです。確かに私が今まで演じた役とは、異なっていると思います。ゲイリー・ハートはとても謎めいていて、非常に知性のある頭脳明晰な人で、私自身ともちょっと違いますが、そんなキャラクターにチャレンジしたかったのです。」

ジャックマンは自身を振り返りながら、続けて語ります。「私は大学時代にジャーナリズムを専攻していて、メディアやプレスに関して興味を持っていました。もし俳優になっていなければ、ジャーナリストになって今皆さんと同席していたかもしれません。まさにこの映画の出来事は、政治とジャーナリズムの関係を変えてしまったストーリーで、今の時代に至るターニングポイントになったと思います。当時は次期大統領候補が記者会見の席で「あなたは不倫をしていますか?」と質問されたり、路地裏で真夜中まで記者に待ち伏せされることなんて、絶対あり得なかったんです。そういう事態が初めて起きたのです。」
そして「この出来事で多くのものを失ったゲイリー・ハートが守りたかったものは、何だったと思いますか?」と問われるとーー。
「彼に会って直接聞いたのですが、あの出来事は自分の人生において最も酷かった、辛い3週間だったと言っていました。けれど彼は上院議員を長く務めて、その後もいろいろなことを行っているんですね。つい最近、彼は妻のリーさんと61回目の結婚記念日を祝いました。2人はずっと連れ添っているんです。大統領予備選から辞退したのも、家族を守りたいという理由が一番大きかったと思いますし、実際に守っていました。そして選挙制度自体の神聖さというものも、守りたかったと思います。」



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常に綿密なリサーチと役作りをするジャックマンですが、今回は特に力を入れて、膨大な膨大なリサーチを重ねたそう。そんなハートにどんな魅力を感じたのでしょう?
「今回初めて存命の方を演じるので、ご本人がこの映画を見てどういう感想を持つか気になりましたし、非常に責任を感じました。彼は当時も今も、理想主義者なんです。若い人たちをインスパイアする魅力を持って支持され、ジョン・F・ケネディの再来とも言われていました。変革できる人だと信じられていたんです。彼が政治家として最も優れていると感じたのは、10年、15年先を見ていたことです。1981年には、コンピュータを作り始めた頃のスティーブ・ジョブズと彼の作業場のガレージで一緒にランチを取って『これからコンピュータの時代になるから、すべての教室にコンピュータを入れるようにしよう』と発言をしていました。」
その後も彼が石油依存による戦争や、テロの脅威を予測して警告していたことなどなど、世界の動向を分析して未来を見据えながらさまざまな助言をしていたことを、私たち日本のメディアに伝えてくれました。
「彼は今でもずっと人々に愛され続けています。こういう人がリーダーになっていたら、よりよい世界を築けたのではないか、今とは違った世の中になっていたのではないかと思います。」と語るジャックマン。今回の役は、自身の中のジャーナリズムへの深い関心が、ハートと共鳴したように思えました。

「SNSがなかったゲイリー・ハートの時代から今、ジャーナリズムはどう変わったと思いますか? もし今彼が政治家だったらSNSをどう使っていたと思いますか?」と聞かれると、「とてもいい質問ですね。ありがとう。」と言って、こう答えました。
「ジョージ・ステファノプロスというクリントン政権時の大統領補佐官だった人が、ゲイリー・ハートが失脚したあの時代はすでにいろいろなことが変わりつつあったと言っていました。今は限界なく、いつでも情報にアクセスできます。現代の政治家は単なる政治的なリーダーとして思想や政策だけを掲げているだけではいけない、人から好かれ、共感される人物でなければならないのです。そういう人物を演出しなくてはならない部分もあります。とにかく今は情報が早すぎで、何でもリアルタイムで進めなくてはならないし、即断しなければならないことがたくさんあります。政治家にとってもジャーナリストにとっても、大変な時代になってきたと思います。反省したり、考え直す時間がない。すぐに書かなくてはいけない。私は大学を卒業したらジャーナリストになろうという気持ちがあったのですが、卒業した1991年当時から質のいい記事を書くのがどんなに大変かと、難しさを実感していました。今はどんな人もSNSで発信できる、さらに大変な時代ですから、私はジャーナリストの方々をすごく尊敬しています。そしてゲイリー・ハートは、SNS を気に入らなかったのではないでしょうか。もちろん、受け入れるしかないとは思いますが…。今だけでなく時代の先を見て慎重にグローバルに考えていた彼のことですから、安易に使うことはなかったのでは、と思います。」



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当時のアメリカ大統領選の状況が私たち日本人にもよくわかるようにていねいに優しく熱心に、質問に答えてくれたジャックマン。とても内容の濃い来日会見でした。
「皆さんもこの映画を見ると、いろんな疑問が生まれると思いますが、答えを出していないというところを、私はとても気に入っています。今のアメリカだけでなく、世界中の政治制度に対していろいろ考えさせられるような作品になっていると思いますし、どの視点から映画を見るかというのも非常に大事なことだと思います。見て、いろんなことを議論したり、話し合ってほしいと思います。」

ジャックマンの真摯なメッセージを受け止めてこの映画を見れば、きっと視野が広がることでしょう。


Text: Keiko Maruyama

フロントランナー(原題:The Front Runner )
2019年2月1日(金) TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテイメント

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